私たちの歴史
「テレビを通して、子どもたちを教育することができるだろうか?」1969年、セサミワークショップは、この一つの疑問に答えるべく始まりました。創設者たちは、その疑問に立ち向かうべく、固定観念を打ち破るような出演者、豊富な経験を持ち合わせた幼児教育の専門家、一度見ると忘れることのできないセサミストリートのマペットたちと協力することを決意。以来、私たちはその難問に向き合い、人々に感銘を与えるようなマイルストーンを達成しています。
あなたが記憶しているであろう、象徴的な瞬間を再び思い起こしてみましょう。そして、私たちが使命を果たすために長年用いてきた、革新的なやり方をご覧ください。
セサミワークショップは、これまでも多様性や公平性、インクルージョンの模範となるような伝統を築いてきました。しかし、警察の残虐行為や歴史的な人種差別に対する全国的な抗議行動を受けて、新たに専門家の助言、進行中の研究、そして子どもたちや保護者の声に基づいた反人種主義や人種的正義の活動に取り組みます。CNNタウンホール「Coming Together. 人種差別に立ち向かおう」と題した特別番組に続いて、新しい番組「The Power of We」を放送。子どもたちが人種差別に立ち向かう方法を紹介しました。2021年には、短編・長編番組、複数のプラットフォームにまたがるリソース、セサミストリート・イン・コミュニティのコンテンツなど、豊富なコンテンツを提供する予定で、人種差別とその子どもたちへの影響に取り組むワークショップの継続的なコミットメントを示しています。
新型コロナウイルス感染症の流行により、世界中の家族が突如として前例のない困難に直面しました。セサミワークショップは、家族が平常心を取り戻し、遊びを通して楽しく学びながら、遠く離れていても友達や家族との距離を縮められるようにするために、「お互いを大切にする」というグローバルな取り組みを立ち上げました。「お互いを大切にする」イニシアティブは、ニーズに合わせて随時更新され、子どもたちとそのご家族に安心とサポートを提供し続けています。
12月8日、 舞台芸術のためのジョン・F・ケネディ・センターは、 ワシントンDCで開催された第42回ケネディ・センター名誉賞授賞式にて、偉大なる芸術的な影響を讃えました。
現在、セサミストリートは150ヶ国で、70の異なった言語を用いて活動しています。今年一年を通して、私たちはこの記念すべき50周年を皆さんと祝います!
ニューヨーク市長 ビル・デブラシオは、セントラル・パーク・ウェストとブロードウェイの間にあるウェスト63ストリートを正式に「セサミストリート」と命名したうえ、2019年5月1日を「セサミストリートデー」とすることを宣言しました。発表と同時に、通りの名前を記した新しい標識が掲げられました。イベントには、ビッグバード、クッキーモンスター、エルモなどセサミストリートのマペットたちに加え、新旧の出演者、通りのネーミング決議を後押しした市議会議員ヘレン・ローゼンタールが登壇しました。デブラシオ市長、セサミワークショップ社長兼CEOのジェフ・ダン、ローゼンタール市議会議員が心に残る演説を行い、大勢の観客と共にセサミストリートのテーマソング「Sunny Days」を元気よく合唱しました。
世界中で行われている人道的援助のうち、教育に割り当てられているのは3%以下。そして幼い子どもたちに割り当てられているのは、そのうちごくわずかです。セサミワークショップは、マッカーサー基金の果敢な慈善活動から感銘を受けたレゴ財団から、1億ドルの基金を受理しました。その基金を元に、ロヒンギャとシリアの危機的状況から被害を被っている子どもたちに、遊びを通して学び、生き生きと成長するために必要なスキルを伸ばすチャンスを提供することを決めました。BRAC、国際救済委員会、ニューヨーク大学のGlobal TIES for Childrenと協働し、私たちの遊びをベースとしたカリキュラムは、子どもたちとケアギバーを結び付け、発達上のニーズをはぐくみ、強靭さを育てることでしょう。子どもたちが健康的な発達への道を辿ることができるよう手助けします。
アメリカでは、毎晩250万人以上の子どもたちが、我が家と呼べるものがないまま眠りにつきます。そして、その子どもの数は増加しています。深刻化するこの問題に対応するため、2018年、私たちはホームレスとなった子どもたちや家族との関係を深め、支援する活動をはじめました。Sesame Street in Communities(セサミストリート・イン・コミュニティズ)番組の顔となるのが、強く頼りになるリリーです。ビデオ・本・インタラクティブアクティビティに登場します。
マルチメディアの取り組みであるSesame Street in Communities(セサミストリート・イン・コミュニティズ)は、支援を必要としている子どもたちや家族に直接教育リソースを届けます。そして、教師・医師・ソーシャルワーカー・ケアギバーを支援します。
2018年、私たちはNelvanaとパートナーを組み、Esme & Roy(エズメ・アンド・ロイ)を製作しました。新しいアニメーション番組を製作するのは10年以上ぶり。モンスターデールに住む女の子とその親友が、優秀なモンスターベビーシッターとして辿る冒険の数々が描かれています。4~6歳の子どもたちを対象としており、遊びを通した学びを教える際の新しく創造的なやり方、そしてマインドフルネス戦略を伝えています。
私たちは、新しいプラットフォームのため、新しいパートナーと共に多くの番組を製作しています。その数は過去の製作数を凌ぐものです。
アメリカの59人に1人の子どもが、自閉症スペクトラム障害を持つと予測されています。診断は幅広く行われていますが、一般社会の理解は追いついていません。See Amazing in All Children(シーアメージング・イン・オールチルドレン)の取り組みを通し、私たちは自閉症の子どもを持つ家族を支援し、自閉症にまつわる誤った考えを払拭する努力をしています。この取り組みを手助けしているのが、セサミストリートに初めて登場する自閉症のマペット「ジュリア」です。2017年に番組初登場したジュリアは、メディアのストーリーとして何百回も取り上げられ、ソーシャルメディア上でも多くの反響を得ました。しかし、最も大きな成功の指標は、自閉症コミュニティ内外から寄せられた圧倒的な反応でした。
世界中で起きている難民問題のために、3000万人以上の子どもたちが故郷以外の場所で生活しています。家や愛する人を失い、一生涯の障害になりうるトラウマに耐えています。しかし、子どもたちは驚くほど強靭です。早期支援によって軌道修正が可能なことが分かっていますが、私たち単独では成し得ないことも事実です。私たちは、子どもたちのニーズを理解するのと同様に、難民の苦境を理解するパートナーが必要でした。だからこそ私たちは、マッカーサー基金からの歴史的な支援を受け、国際救済委員会と手を組んだのです。人道的対応の歴史において最大規模となる、幼少期の介入を構築するために共働します。
セサミの共同製作番組であるアフガニスタン版Baghch-e-Simsimに、初のアフガニスタン人マペット「ザリ」が登場しました。元気な6歳の女の子で、学校に行ってスポーツをするのが大好きなザリは、男女公平を訴えています。幼い女の子の手本となり、男の子に、「女の子が学校へ行ったり、クリケットをしたり、キャリアに憧れたりしても良いのだ」ということを伝えるのです。翌年、ザリの弟「ジーラック」も出演者に加わりました。ジーラックはお姉さんを尊敬しています。そして、家庭を超えた社会にも、女性の居場所があるのだという考え方を示しています。
アメリカには、どちらかの親が州立・連邦刑務所に収監されている子どもたちが270万人います。しかし、幼い子どもたちや家族がその現実に向き合えるよう支援するリソースは、ごくわずかでした。収監された両親を持つ子どもたちへの支援として、困難な状況にいる子どもやその家族を慰め、お互いが繋がっていると感じられるよう手助けをする戦略やリソースを提供する取り組みを始めました。
2006年、史上最高レベルで軍事配備が行われているにもかかわらず、兵士を家族に持つ幼い子どもたちには十分なリソースがありませんでした。そこでセサミストリートは、家族の兵役という特殊な状況に向き合う子どものためのツールを提供することにしました。これは、配置、帰還、悲しみ、損失、兵士から市民への転換、家族としていかに健康を保つかなどを網羅した内容となっています。
2001年9月、セサミストリートは製作の最中でした。9・11テロが起き、事件直後に子どもたちが抱える感情面のニーズに対処しなくてはならないと感じた私たちは、恐れ、損失、文化的動機に根差すいじめに向き合うためのツールを子どもたちに与えるため、スペシャルシリーズを製作しました。その中にはニューヨーク市で活躍する、本物の消防士が登場したエピソードもありました。 2005年、甚大な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナの後には、嵐に巣を壊されてしまったビッグバードが、その状況にどう立ち向かうかを描いたスペシャルエピソードを放映しました。自然災害の際頼りになる一連のリソースも、この時作成しました。
1990年代後半、南アフリカでは4人に1人の子どもがエイズ問題に脅かされていたと予想されます。彼らは孤児となるか、ウイルスに感染していました。そこで私たちは南アフリカの教育省と協働し、エイズに取り組む初の未就学児向けカリキュラムを開発しました。そして、それまで前例のなかった、エイズ感染者であるマペット「カミ」を生み出したのです。カミとその友だちは今日も、この地域でエイズにまつわる誤った考えを払拭する手助けをしています。
1990年代中頃、イスラエル・ヨルダン川西岸地区・ガザ地区で放映されていたセサミストリートの共同製作番組に、協力や相互尊重を掲げるオリジナルキャラクターが登場しました。イスラエルとパレスチナにおける幼児向けキャラクターの登場に対し、当時のアメリカ大統領であったビル・クリントンから賞状が授与されました。2000年代中頃を通じ、セサミワークショップは紛争が相次ぐ地域において、共感構築のための他の共同製作番組も製作しています。北アイルランド版Sesame Tree、コソボ版Rruga Sesam/Ulica Sezamがその一例です。
人種関連の取り組みの一環として、今では代表的とも言えるセグメントで、ウーピー・ゴールドバーグとエルモは、お互いの肌・毛の色や質感を比べ、讃え合いました。この慣例はその後も「I Love My Hair」(私の髪の毛が好き)、「Lupita Nyong’o Loves Her Skin」(ルピタ・ニョンゴは自分の肌が好き)、共感や、異文化を理解し、尊重することを促すセグメントなどで、長年続くことになります。
長年、セサミストリートに住む大人たちは、ゾウのような毛むくじゃらの生き物、ミスター・スナフラパガス(スナッフィーとも呼ばれる)を、ビッグバードの空想上の友だちだと考えていました。しかしビッグバードは、大人の友だちは信じてくれなくても、スナッフィーが本物だということを知っていました。そして1985年、変化が起きます。注目を集める児童虐待事件が次々と起き、「思いやりのある大人は子どもたちの言うことを信じる」ということを子どもたちに伝えたかった私たちは、スナッフィーについて、ビッグバードがずっと正しかったのだと知らせることで、子どもたちの気持ちを正しく受け止め、また大切なことを両親やケアギバーとシェアすることの大切さを促しました。
みんなのお気に入り、毛むくじゃらの赤色のモンスターエルモは、当初、名もなく目立たないキャラクターでした。しかしほどなくして、特徴的な声や陽気な性格といった個性が発揮されはじめ、1984年、初めてエルモとして登場しました。のちにエルモは、セサミストリートのスーパースターとなり、世界中で最も認知される子ども向けキャラクターの一人となりました!
1983年、愛すべきお店の主人であるフーパーさんを演じたウィル・リーが亡くなりました。代わりの俳優を入れたり、「引っ越し」を演出したりすることはやめようと決断したセサミワークショップのカリキュラム専門家や脚本家たちは、どのように幼い子どもたちに死というものを伝えるか、慎重に計画しました。その番組は、視聴者世代が大いに共鳴し、エミー賞を受賞しました。
アメリカで成功を収めたセサミストリートは、世界中の放送局から注目を集めました。1972年、初の国際共同製作番組(ブラジル版Vila Sésamo・メキシコ版Plaza Sésamo)が放映され、翌1973年には、ドイツでSesamstrasseが放映されました。この過程において、共同製作番組作成のためのモデルを開発し、このモデルは各国の教育における優先事項と文化的感性を反映するもので、今日においても使われ続けています。
未就学児のセサミストリートファンが確立した時点で、セサミワークショップ(当時は、Children’s Television Workshop)は、多世代のニーズに応え、他の教育目標を達成するにはどうしたら良いかを考え、1971年、7~10歳の子どもたちが直面している深刻な識字問題を解決するため、Electric Companyを設立しました。そして長年にわたり、変化し続ける子どもたちのニーズに応えるために3-2-1 Contact、DragonTales、GhostWriterといった代表的なアニメーション・実写版番組を作り出したのです。
セサミストリート初のエピソードは、ゴードンが新しくやってきた子どもに、「セサミストリートのような通りは見たことがないはずだよ」と、近所を紹介するところから始まります。セレブリティゲスト、覚えやすい曲、アニメーション、そして愛すべきマペットたちを用いるセサミストリートは、子どもや保護者たちの間でたちまち大ヒットとなり、ファーストシーズン終了までに、何百人もの未就学児がセサミストリートを視聴しました。
市民権運動と貧困撲滅運動の最中、セサミストリートの創設者、ジョーン・ガンツ・クーニーとロイド・モリセットには、一つのシンプルな画期的なアイディアがありました。それは、「テレビが恵まれない境遇にある子どもたちの就学準備を手助けすることができる」というもの。彼らは、教育アドバイザー、研究者、テレビプロデューサー、アーティスト、その他先見の明に長けた人をメンバーに選出し、のちに子ども番組としてアメリカテレビ史上最長の記録を打ち立てることになる番組を作り出しました。
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セサミワークショップへの支援は、世界中の子どもたちの生活にもたらす有意義な変化を意味します。ぜひご協力ください!